魔術師の日常 PART2 日拝
Do what thou wilt shall be the whole of the Law.
前回の予告通り、私が行っている最も基本的な日課を具体的に紹介していきたいと思います。みなさんも是非行ってみてくださいね。
今日は日拝(太陽礼拝)についてです。
日拝とは太陽の動きに合わせて、日に4度、ないしは3度毎日行う儀式です。
各オーダーによって行い方の違いがあり、私はクロウリーのLiber Resh vel Helios に従って行っています。
※Liber Resh vel Helios(レシュの書及び第200の書)・・・クロウリー著「魔術 理論と実践」に掲載。
レシュとはトートタロットのAtu19 The Sun に対応するヘブライ語となり、200はレシュの数価となりますので、第200の書となっています。このことから太陽に関係する書ということが分かります。
【作業の手順】
① 朝、昼、夕方、真夜中に行う。
② 各タイミングに対応する方角に対しサイン(魔術的所作)を行う。
③ 祈りの言葉を唱える。
④ 沈黙のサインを行い終了。
御覧の通りとてもシンプルで慣れてしまえば5分程度で終了しますが、あなどるなかれとても重要な儀式です。
それでは少し細かく説明をしていきましょう。
① 朝、昼、夕方、真夜中に行う。
これは夜明けを迎え、燦々と輝き、沈み、また昇っていくという太陽の動きのサイクルに沿い同調するということです。
ですので本来は朝(日出)、昼(正午)、夕方(日没)、真夜中に行いますが、生活スタイルによって難しい場合がもちろんありますので、少し時間がずれてしまってもいいと思います。
② 各タイミングに対応する方角に対しサイン(魔術的所作)を行う。
方角は、朝は「東」、昼は「南」、夕方は「西」、真夜中は「北」になります。
サイン(魔術的所作)はレシュの書を参照すると、自分の位階のサインをするとありますが、皆さんは下記の図のように。
ちなみに位階のサインとは、セフィラとその元素的性質を反映した固有のポーズのことです。
朝
(両手胸の前でクロス)
昼
(両手で上向きの三角形を作る)
夕方
(何かを支える感じ)
真夜中
(両手で下向きの三角形を作る)
これらのサインは何を表しているのでしょうか?
カバラをご存じない方は少し難しく感じてしまうかもしれませんが、アストラル界において魔術師はサメクの径とペーの径の交点に立って儀式を行います。(ティファレトが正面です)
サメクの径はティファレトとイエソドを結び、ペーの道はネツァクとホドを結ぶ径です。
私たちはその径の交わる点に立ち、朝(東)はティファレトの位階のサイン、昼(南)ネツァクの位階のサイン、夕方(西)はイエソドの位階のサイン、そして真夜中(北)はホドの位階のサインを行うというわけです。
③ 祈りの言葉を唱える。
先ほどのサインを各方角で行ったまま、下記の祈りの言葉を唱えてください。
朝
昇りゆく汝、ラーを歓迎せん。
汝を歓迎せん、ラーとともにある力よ。
太陽が昇りゆくとき、帆船に乗り天界を旅する汝よ
タフティは光輝とともに船首に立ち、ラ・ホールは舵をとる
汝を歓迎せん、夜の住居より!
昼
勝ち誇る汝、ハトールを歓迎せん。
汝を歓迎せん、ハトールとともにある美よ。
太陽が中間点にあるとき、帆船に乗り天界を旅する汝よ
タフティは光輝とともに船首に立ち、ラ・ホールは舵をとる
汝を歓迎せん、朝の住居より!
夕方
沈みゆく汝、トゥームを歓迎せん。
汝を歓迎せん、トゥームとともにある喜びよ。
太陽が沈みゆくとき、帆船に乗り天界を旅する汝よ
タフティは光輝とともに船首に立ち、ラ・ホールは舵をとる
汝を歓迎せん、昼の住居より!
真夜中
隠れたる汝、ケフラを歓迎せん。
汝を歓迎せん、ケフラとともにある沈黙よ。
太陽が真夜中にあるとき、帆船に乗り天界を旅する汝よ
タフティは光輝とともに船首に立ち、ラ・ホールは舵をとる
汝を歓迎せん、夕暮れの住居より!
ラー、ハトール、トゥーム(アトゥム)、ケフラ。
これらはどれも太陽神ラーの異なる性質の側面を表した神々の名前です。
祈りの中に入っている「力」、「美」、「喜び」、「沈黙」はそれぞれの神に対応したキーワードとなります。
まずはこれらの神々の性質や姿形等を自身で調べ、そしてキーワードや各方角に対応する4大エレメント(火、水、風、地)とリンクさせ瞑想してみましょう。
それぞれの神をことを調べ学び、瞑想した結果、対応する象徴に対しての理解が深まり、魔術師に必要なイメージする力が養われていくと思っています。
そして慣れてきたら、自分自身にそれらの神々のイメージを重ね合わせ、合一することを意図していきましょう。
④ 沈黙のサインを行い終了。
沈黙のサイン(ハーポクラテスのサイン)とはこちら。
(右手人差し指を唇に当て目を閉じる)
沈黙と共に、太陽と同調し受け取った感覚等を刻み込んでいきます。
この日拝の主なポイントは、太陽の変化及び神と同調することを強めるということです。
太陽とはいったいどのような象徴なのでしょうか。
太陽は古から神として崇拝されており、その状態は様々な神として表されています。
そして太陽(☉)は自分自身をも表しますね。
ですので、日拝の目的は、神である太陽と人間である自分自身が同調することによって、大宇宙と小宇宙とのリンクを強めていくことであり、かつ自らの内にある神性に対し目覚め意識的になること、そして近代魔術においては魂の錬金術であり儀式魔術体系のゴールであるgreat work(大いなる作業)を私たちに常に想起させることと言えるでしょう。
great workとは「相反するもの同士の結合である。それは魂と神の、小宇宙と大宇宙の、女性と男性の、自我と自我 ならぬものとの結合を意味するであろう」とクロウリーは定義しています。
このことから日拝の重要性を感じて頂けることと思います。
大事な儀式とはいえ、なかなか一人になれる時間を太陽の動きに合わせて、確保するのは難しいと思います。
そんな時はイメージを使っていきましょう。
儀式を行っている自分を頭の中でイメージし動かしていけば大丈夫。私はよく電車の中や、歩いている最中に行うこともあります。
魔術の日々の実践は、完璧な環境を求めすぎるとうまくいかず投げ出したくなってくるので、自分の生活に合わせ、柔軟に工夫していくことが大事だと思います。
それではまた次回★
Love is the law, love under will.